名義貸し産業医の法的リスク
はじめに
「うちの産業医、まったく事業所に来てくれません...」
もしこのような状態だったら会社は非常に危険な状態です!
このような「名義貸し産業医」を放置していると法的罰則、労災発生時の多額の賠償請求が会社に降りかかってくる可能性が高いです。
今回は「名義貸し産業医」がいかに危険であるか、どのように対策をすべきかについて解説していこうと思います。
名義貸し産業医の刑罰リスク
産業医は1ヶ月以内に1回(条件によっては2ヶ月以内に1回)事業所を巡視し、衛生委員会に出席しなければいけません。
これを怠った場合、法律違反となり企業に50万円以下の罰金(刑事罰)が適応される可能性があります(労働安全衛生規則第15条)。
事業所を訪問しない産業医も職業人としてのモラルが問われますが、刑事的責任は企業に向けられます。職業倫理のない産業医を放置するということは企業にも厳しい目が向けられます。
罰金の金額自体は大きくないかもしれませんが、企業が1度刑罰を受けると公表や報道される可能性も高く、企業の社会的信頼も損なわれます。
2024年から強化される働き方改革に伴い、労働基準監督署のチェックも厳しくなってきています。
現状が「名義貸し産業医」になっている場合は産業医を交代することが安全策です。
名義貸し産業医の訴訟リスク
労働災害が発生し従業員が休職した際に企業に落ち度があった場合、訴訟となり、不利になる可能性があります。
その際にほぼ確実にチェックされるのが産業医の活動実態です。職場巡視や衛生委員会での活動がない場合、企業は安全配慮義務(従業員の安全を守る義務)を果たさなかったとみなされ不利な立場に立たされます。
企業のコンプライアンス遵守が求められる中で、産業医が業務をしっかり行っているかは厳しくチェックされるようになっています。
訴訟リスクを回避するためにも、改めて産業医の実態を見直す必要があります。
産業医活動を見直す方法
今依頼している産業医は地元の開業医か勤務医であることが多いかと思います。これまでのご縁の関係であまり強く要求を主張することは難しいかもしれません。
その際は、まずは事業所に来てもらうように依頼することから始めると良いです。
「働き方改革の強化に伴い、産業医活動を厳密に行う必要が出てきた。」と伝えることで重要性が伝わりやすいと思われます。
この依頼に難色を示すようであれば、やはり産業医は交代したほうが良いです。
事業所に来て、業務をしっかりこなすようになれば今の産業医を継続しても良いでしょう。
もし産業医が訪問に困難を感じるようですと産業医契約を自主的に終了する可能性もあります。その際は円滑に産業医の切り替えが可能です。
まとめ
働き方改革等、労務管理や労働衛生が重要視される今日では、「しっかりと現場に足を運び、事業者、従業員の声を聴く産業医」を選ぶ必要があります。
いわみ産業医事務所では経験豊富な産業医が密なコミュニケーションをとりながら企業様の安全衛生に貢献いたします。
まずはお見積もりから始めてみてはいかがでしょうか。
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