騒音健診の対象者、検査項目とは? 【産業医がわかりやすく解説】

目次

はじめに

一定以上の騒音職場に重視する人には騒音健診を実施しなければいけません。今回は対象者や検査項目についてわかりやすく解説していきます。

騒音健診の対象者について

「等価騒音レベル」が85dB以上になる可能性が大きい作業場の業務に従事する労働者に対し、騒音健診を実施しなければいけません。騒音レベルが高い作業場に短時間しかいない場合や、常時は作業していない場合であっても騒音健診の対象者となります。騒音健診では問診と聴力検査を行います。

等価騒音レベルとは

工場の中では作業のたびに騒音が起こるため大きさは一定ではありません。騒音レベルを測定するには騒音の平均値で評価する必要があります。それが等価騒音レベルです。

タイミング

対象者は次のタイミングで騒音健診を受けなければいけません。

①雇入れ時、②配置替え時、③6ヶ月以内ごとに1回定期

雇入れ時、配置換え時の健康診断項目

項目名
既往歴および業務歴の調査
自覚症状および他覚症状の有無の検査
オージオメーターによる250、500、1000、2000、4000、6000、8000ヘルツにおける聴力の検査

定期健康診断項目

項目名
既往歴および業務歴の調査
自覚症状および他覚症状の有無の検査
オージオメーターによる1000および4000ヘルツにおける選別聴力の検査

健診結果の扱い

健診結果ではまず聴力に基づく管理区分A,B,Cに分類してリスク管理します。3種類の健康管理区分は次の基準値で区分されます。

聴力レベルに基づく管理区分

会話音域 30dB 未満 30dB 以上
40dB 未満
40dB 以上
高音域 30dB 未満 管理 A 管理 B2 管理 C
30dB 以上 50dB 未満 管理 B2 管理 B2 管理 C
50dB 以上

管理 C

管理 C 管理 C

注)騒音健康診断では、管理 B1 は使用しない

30dBの音圧での検査で異常が認められる者やその他医師が必要と認める者については二次検査を行います。

二次健診の結果内容を含めて健康管理区分を決定していきます。

健康管理区分表

区分 原則
管理 A 一次健康診断の全ての検査項目に異常が認められない者
管理 B 1. 一次健康診断の検査項目に異常を認めるが、医師が第2次健康診断を必要としないと判断した者
2. 二次健康診断の結果、管理Cに該当しない者
管理 C 二次健康診断の結果、治療を要すると認められる者

騒音健康診断における健康管理区分ごとの措置

区分 状態* 措置
管理 A(異常なし) 聴力に異常がみられない。 ・一般的聴覚管理
管理 B2(要観察) 前駆期の症状が認められる。
軽度の聴力低下が認められる。
・騒音ばく露を等価騒音レベル85dB(A)未満に抑制すること。
・作業環境が第2管理区分又は個人ばく露測定結果が85dB(A)以上となる場合には、聴覚保護具を適切に着用することにより、騒音ばく露レベルを85dB(A)未満とする必要があること。
管理 C(要管理) 中等度以上の聴力低下が認められる。 ・騒音作業に従事する間、聴覚保護具を適切に着用することにより、騒音ばく露レベルを85dB(A)未満かつ可能な限り低減させる必要があること。
・必要に応じ、騒音作業に従事する時間の短縮、配置転換等により、騒音ばく露を抑制すること。

騒音障害は健診で異常が見つかる前に作業環境を整えることで未然に防ぐことが重要となります。

騒音障害予防の具体的な方法についてはこちらを参照ください。

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この記事を書いた人

株式会社いわみ産業医事務所 代表取締役・産業医 岩見謙太朗

北海道大学医学部を卒業後、日本最北端の地、稚内にて臨床医として研鑽を積む。
製造業系、福祉系の事業所にて産業医実務を積み、株式会社いわみ産業医事務所として独立。産業医業務のみならず健康経営コンサル業務、人材採用コンサルティングを行う。僻地の病院の人材採用を倍率1倍以上にV字回復させた実績もある。

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