インフルエンザの大流行 2025年の予測と職場の備え【産業医が解説】

はじめに

例年、冬に向けて職場で注意が必要となる感染症といえばインフルエンザです。
2024年は全国的に大流行が見られ、2025年も同様の傾向が予想されています。
特に今年はA型インフルエンザが主流になる見込みで、発熱・倦怠感などの症状が強く出やすい点が特徴です。
南半球(オーストラリア)の流行データからも、日本も同じ波をたどる可能性が高いと考えられています。


目次

1.2025年はA型が中心──「高熱・強い症状」に注意

ここ数年、季節性インフルエンザはA型が流行の中心となっています。
A型はB型に比べて高熱や全身倦怠感、頭痛などの症状が強く、仕事や学校を長期で休むケースも少なくありません。

南半球のオーストラリアでは2025年夏に例年より早い立ち上がりと広範な流行が確認され、日本でも同じ時期(1月〜3月)にピークがくると見られます。


2.ワクチンは「10月接種」が最も効果的

インフルエンザワクチンは、接種後1か月で効果が最大化し、約4か月持続します。
そのため、10月中に接種しておくと、流行期(11〜3月)をカバーできます。

💡ポイント:前年のワクチンは今年の株と異なるため、毎年の接種が必要です。

職場での集団接種や健康保険組合の補助制度を活用すれば、従業員が受けやすい環境を整えることができます。


3.感染を防ぐ職場の基本行動

ワクチン接種と合わせて、日常の感染対策も引き続き重要です。

通勤時

  • 混雑した電車やバスではマスクを着用
  • くしゃみや咳が出るときは咳エチケットを守る
  • 換気が可能な車両では定期的に空気を入れ替える

職場で

  • 出勤前に体調チェック(発熱・咽頭痛・倦怠感の有無)
  • 食事前や咳・くしゃみの後は手洗い・アルコール消毒
  • 無理をせず、体調不良時は休む勇気を持つ

職場全体で「体調不良を隠さない文化」を築くことが、結果的に業務の安定とチーム全体の安全につながります。

体調不良時の正しい対応(職場での拡大防止策)

① 隠さずに申告

体調不良は誰にでも起こりうるものです。
内緒にしているとその間に周囲に感染が広がってしまう可能性があります。
まずは体温測定を行い、体調不良を必ず申告してください。

② 出社しない

原因が不明なまま出勤してしまうと、感染症を職場に広げてしまうおそれがあります。
「迷惑をかけたくない」という気持ちから無理をしがちですが、
感染が広がると結果的に職場への影響はより大きくなります。
体調不良時は在宅や休養を選ぶことが最善のリスク管理です。

③ 受診して療養する

インフルエンザの治療は「療養」が基本です。
症状を抑える薬もあるため、早めに受診して必要に応じて使用しましょう。
受診が難しい場合は、薬局で購入できる唾液検査キットを活用し、感染の有無を確認してください。

まとめ

感染症対策は、個人の健康管理だけでなく、組織全体のパフォーマンスを守る経営課題でもあります。
従業員一人ひとりが正しい知識と行動を共有し、互いに支え合うことが、強い職場づくりの第一歩となります。

職場の健康管理、産業医の連携については株式会社いわみ産業医事務所までお問い合わせください!

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この記事を書いた人

株式会社いわみ産業医事務所 代表取締役・産業医 岩見謙太朗

北海道大学医学部を卒業後、日本最北端の地、稚内にて臨床医として研鑽を積む。
製造業系、福祉系の事業所にて産業医実務を積み、株式会社いわみ産業医事務所として独立。産業医業務のみならず健康経営コンサル業務、人材採用コンサルティングを行う。僻地の病院の人材採用を倍率1倍以上にV字回復させた実績もある。

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