意外と知られていない「二次健康診断」制度を活用しましょう

定期健康診断の結果を確認したあと、「再検査」や「要精密検査」といった指示に対応することは多いと思います。しかし、実は労災保険には、一定の条件を満たした労働者が追加の健康診断や保健指導を無料で受けられる制度があります。それが「二次健康診断等給付」です。
この制度は、脳血管疾患や心臓疾患など、いわゆる過労死につながる重大な病気の予防を目的として設けられています。費用は労災保険から支払われるため、従業員の自己負担も、企業の費用負担もありません。
しかし実際の現場では、この制度の存在自体があまり知られておらず、活用されていないケースも少なくありません。今回は、二次健康診断制度の対象者や内容、手続きについて解説します。
二次健康診断とは
二次健康診断とは、定期健康診断の結果から脳・心臓疾患のリスクが高いと考えられる労働者に対して、追加の検査や保健指導を行う制度です。
対象となった場合、追加の検査と生活習慣改善のための保健指導を受けることができます。これらの費用は労災保険から支給されるため、従業員・企業ともに費用負担はありません。
二次健康診断の対象者
二次健康診断等給付は、定期健康診断の結果において、以下の4つの検査項目すべてで「異常所見あり」と判定された場合に対象となります。
また、一次健康診断では異常なしと判定されていても、事業場に選任されている産業医が、就業環境や労働状況などを総合的に判断し、医学的に必要と認めた場合には、産業医の意見により対象となることがあります。
| 検査項目 | 検査値 |
|---|---|
| 1. 血圧 | 収縮期血圧:130mmHg以上 または 拡張期血圧:85mmHg以上 |
| 2. 血中脂質(脂質代謝) | LDLコレステロール:140mg/dl以上 または HDLコレステロール:40mg/dl未満 または 中性脂肪:150mg/dl以上 |
| 3. 血糖(糖代謝) | 空腹時血糖:100mg/dl以上 または HbA1c:5.6%以上 |
| 4. 肥満度(身体計測) | BMI:25以上 または 腹囲:男性85cm以上 / 女性90cm以上 |
なお、次のような場合は制度の対象外となります。
・労災保険の特別加入者
・すでに脳血管疾患または心臓疾患を発症している場合
・一次健康診断から3か月以上経過している場合
特に注意が必要なのは、一次健康診断から3か月以内に申請する必要があるという点です。
二次健康診断で受けられる検査
二次健康診断では、主に次のような検査が実施されます。
・空腹時血中脂質検査
・空腹時血糖検査
・HbA1c
・負荷心電図または心エコー検査
・頸動脈エコー検査
・微量アルブミン尿検査
さらに、生活習慣改善のための特定保健指導を受けることもできます。
・栄養指導
・運動指導
・生活習慣改善のアドバイス
これらは年度内に1回受けることができます。
二次健康診断の手続き
二次健康診断を受けるためには、「二次健康診断等給付請求書」を提出する必要があります。
一般的な手続きの流れは以下の通りです。
- 企業が対象となる従業員の給付請求書を作成
- 企業から従業員へ請求書を渡す
- 従業員が医療機関に請求書を提出して受診
- 医療機関が労働局へ請求手続きを行う
- 労災保険から医療機関へ費用が支払われる
このように、従業員は自己負担なく検査や保健指導を受けることができます。
なお、地方に勤務している従業員であっても、二次健康診断に対応している医療機関であれば各地域で受診することが可能です。
企業として制度を活用するポイント
二次健康診断制度は、制度自体を知らないために活用されていないケースも少なくありません。
企業としては、次のような取り組みを行うことで制度を活用しやすくなります。
・健康診断結果を確認して対象者を把握する
・対象者へ制度を案内する
・産業医と連携して受診を促す
脳・心臓疾患は突然発症することも多い疾患です。健康診断の結果を活用し、早い段階で生活習慣の改善につなげることが、従業員の健康維持や重大疾患の予防につながります。
株式会社いわみ産業医事務所では、健康診断結果の確認や二次健康診断制度の活用支援など、企業の健康管理体制づくりをサポートしています。
健康経営や従業員の健康管理についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。
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